「住みやすい国」ランキングの常連であるオーストラリア。豊かな自然と穏やかな国民性から、世界的なイメージも良く、差別とは無縁と思ってらっしゃる方も多いのではないでしょうか?
しかし、結論から言えば、実際に体験する頻度は低いものの差別はあります。
数週間から数ヶ月くらいの滞在であれば、差別を受ける機会は極めて低いでしょう。しかし、1年以上の長期滞在をする方は、なんらかの差別を1度は経験する方は多いのではないでしょうか。
かくいう僕も、アデレードに長期留学していた際に、2度ほどそういう体験をしたことがあります。
今回は、それらの体験を具体的に書いていこうと思います。
後ろから突然、蹴られる
それは、ある日の授業終わりに通っていた学校(当時TAFE SAという職業訓練学校の日英通訳コースに通ってました)のすぐ横の通りを、日本人のクラスメイト2人と一緒に歩いていた時のことです。
明日のテストのことやらを3人で話しながら歩いていると、突然うしろから何者かに、まず僕が蹴られました。
続いて、僕の隣にいたクラスメートの40代のおばさんも、後ろから背負っていたリュックを蹴られました。(もう1人の20代の女の子は何もされませんでした)
どちらも、そんなに強いキックではなかったのですが、とにかく突然の出来事でびっくりして振り返ると、男4人と女1人のオージーの5人グループがニヤニヤしてこっちを見ています。
男たちは、みな結構ガタイがよく、そのうち2人は180cmを超えていたと思います。
とっさのことにショックを受けながらも、しかし何か言わねば、と思い「なぜ、こんなことするんだ?僕たちが何かしたか?」と尋ねてみると、そのグループの1人がニタニタしながら
「なんだ、何か文句があるのか?アジア人は弱いな」
的なことを言い、再度そのおばさんのリュックを蹴りました。
すると、これには普段は物腰が非常に穏やかで【クラスメイトのお母さん的な存在】と呼ばれるそのおばさんも、さすがにブチきれ「Don’t kick me!!!」と言い返します。
しかし、それを見てさらに笑う男たち。
(あ、コイツらは、話通じない系だな)と判断した僕は、2人に”もう無視しよう”とジェスチャーで伝え、また歩き出しました。
そいつらは、僕たちが歩き出したと同時にまたニヤニヤと笑いながらついてきましたが、昼の学校近くの通りで、人通りも多いため、まあ大丈夫だと判断しました。ただ、そのいつまでも後ろからついてくるバカたちに、だんだんとムカっ腹もたってきて、何もできないことも悔しかったので、逆に《お前らのことなど毛ほども気にしていないよ》との余裕をみせつけてやるべく、もう別に話したくもないテストの話を再開し、わざと1人でおおいに笑ったりしてやるアピールプレイに移行すると (もちろん心の中ではおおいにドキドキしてました)、先方も興味をなくしたらしく、そのまま僕たちを追い越し、信号を渡ってどこかに行ってしまいました。
というお話なんですが、そのクラスメイトの2人もオーストラリアで差別にあったのは長年住んで初めてだったそうなので、日常的には差別はないのは確かです。
しかし、僕はその一件で、現在は撤廃された昔の白豪主義の名残を見た気がして、なんともいえない気分になりました。
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走り去る車の窓から、差別用語を叫ばれる
次に紹介するのは、ある日、僕が自転車に乗ってバイト先に向かっている途中で起きた出来事です。
当時アデレードの中心街から少し離れた日本食レストランでアルバイトをしていた僕は、いつも出勤する際は自転車を使っており、その日は遅刻しそうだったので全速力で走っていました。
すると、突然後ろから猛スピードで近づいてきた車がクラクションを鳴らし、追い越しざまに、何か叫んできました(中国系の方に関する差別用語だったと思います)
で、反射的にその車をみると、ちょっと腕にタトゥーをしたヤンキー風のオージーグループで、そのうち、助手席と後部座席の2人が、両方の窓から身を乗り出し、ニタニタ笑いながら、さらにバカにしたジェスチャーをしてきたのが見えました。
なんかもう、北斗の拳に出てくるザコキャラみたいなやつらです。
正直、バイトに遅れそうで急いでいたので、そんなことに構っている時間はなかったのですが、やはりそういうレベルのことをしてくるヤツらには、それに合わせた対応をしなければ、礼を失すると思い直し、走り去る車に向かって、《F⚫︎⚫︎ker!》という言葉を投げかけた上で、相手のバックミラー越しに中指を立てました。
すると、やはりここは短気なザコキャラの常で案の定、彼は怒って車を急停止させUターンさせようとしますが、Uターンに手間取っている間に、僕はすぐそばの車が通れない細い路地に曲がり、なんなく切り抜けることができました。
結果、バイトには5分遅れましたが、気分はスッキリです。
でも安心してください
ということで、今回は僕が経験したオーストラリアでの2回の差別です。
これを読んで、えー!オーストラリアってまだ差別あるんだ!怖い!と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、あくまで1年半という長期滞在の中での2度なので、頻度は低いです。
通常、オーストラリアで日常的に差別を受けることなど、まずあり得ませんし、ほとんどのオージーの方々は非常に親切で気さくです。数年間住んで一度も差別を受けずに日本へ帰国された方もたくさんいらっしゃいます。なので、過度にはご心配なさならいように願います。
また、記事内での僕の行動は、倫理観が欠如したレイシストに対し火に油を注ぐものが多いので、リスクが高いです。皆さんは腹が立ってもやり返しはせず、そういう人たちにあったらその場で無視するなり、状況によっては助けを求めるようお願いします。
今回は以上です。では、また次回!