日本で一時期、会員に怪しい商品を大量に売りつけるネズミ講の会社が摘発されて大きなニュースになっていましたが、こういう商法は何も日本だけの専売特許ではありません。
海外にもネズミ講の会社はたくさんあります。
今回は、自分がアメリカで働いていた時に経験したネズミ講詐欺についてのお話です。
(今回、写真は少なく画質も悪いです。途中で詐欺と気づき、何枚か隠れて撮ったものなので)
ある日、同僚から誘われて
当時、自分はインターンでニューヨークの航空会社で働いていたのですが、フライトが週3しかなく給料が低いため、休日にできるバイトを探していました。
でも割の良いバイトがなかなか見つかりません。[フライト以外の日]という縛りがある以上、それ以外の週2-3日を朝からフルで働かせてくれるようなバイト先はなかなかないのです。
で、ある日、そんな僕の事情を知っているアメリカ人の同僚Yに「Keisuke!(自分の名前です) 高額のバイトがあるけど、一緒に説明会に参加する?」と軽い感じで誘われました。
一応どんなバイトか聞いてみたのですが、
「それは行ってからのお楽しみ!(ウインク、パチッ!😉)」 みたいな感じで答えをはぐらかされました。
この時点で客観的に見ると、いかにも特殊サギ風の匂いがプンプンして怪しいですが、その同僚Yは、普段から勤務態度もマジメでとても親切ですし、なにより一緒によく中国語の勉強とかもしたりして仲が良かったので 、そんなに警戒することはなかったのです。
結局、説明会の日時と会場のみ伝えられ、当日は現場集合という形となりました。
いざ、説明会へ。。。
そして、説明会の当日、会場のホテル着きました。
(ホテルの入り口。窓に反射してるケータイを構えてるのが僕です↓)
現場で、同僚Yと合流し、ロビーで受付を済ませると、大きな会議室に案内されました。すでにたくさんの人がいます。
(ただのバイトの説明会なのに、ホテルの会議室を貸し切ったりして、イヤにお金をかけてるな)と思いながら、同僚Yと一緒に席につきました。
まだ、開始時間までしばらくあるのでボーッと座っていると、なぜか突然よくわからないジュースが配られました。↓
なんかエナジードリンクのようですが、アメリカでも見たことのない【Verve】という銘柄です。
ちょっと飲んでみましたが、別にたいして美味しくもなく、エネルギーが補充されることもなく、これならRedbullやMonsterのほうが全然マシだなというのが正直な感想です。
そうこうしているしているうちに、代表みたいな人が入ってきて、説明会が始まりました。
怪しすぎる内容
説明会が始まると、なぜかすぐ、今日初めて参加した新人は挙手させられ、代表者やベテラン勢から拍手が送られます。(僕を含めて20人くらいが新人)
で、やたらと褒めてきます。「君たちは素晴らしい」とか「君たちには輝かしい未来がある」とか表面的で中身のない賛辞です。
そういうことを言葉を変え、何度も繰り返します。
。。。
バカバカしい。
開始10分ですが、短気な自分はすでにイライラしてきました。
で、そのくだらない賛辞が終わると、次はバイト内容の説明に入ると思いきや、そこはすっ飛ばし、このバイトをすることにより、何が買えるようになるかをスクリーンに出して説明しだします。
ベンツやBMW、高級時計などの写真がスクリーンに永遠と流れます。それらを見せながら、「君たちも上手くやればこういうものを手にできるんだ」と鼓舞してきます。
ニンジンを餌にしているつもりなのでしょうか。
あまりにミエミエの手法にちょっと笑えます。
で、それが終わると、代表者の人生についての“ありがたい“お話が始まります。
(こいつが代表者↓)
なんでも、こいつは、学生時代は肥満でイジメられ続け、苦しい経験をしたとのこと。
食事療法や運動など、さまざまなダイエットを試したものの、一向に肥満は改善されず、一時は自◯まで考えたが、あるエナジードリンクを飲んで、劇的にやせて救われた、とのこと。
みなさん、もうお分かりですね?
それが【Verve】なのです。
このVerveを飲むことにより、もともと260ポンド(約120kg) あった体重が150ポンド(約70kg) になったらしいのです。
しかし、この代表者、こんな主張をしておきながら、260ポンドの時の写真を一切出さないのです。後ろのスクリーンは何のためにあるのか?
(仮に出したとしても、その減量がVerveによる効果の証明には全くならないですが)
そして何より気持ち悪いのが、こいつが「私はVerveに救われたのです!」と両手をあげて叫んだ瞬間に、周りのベテラン会員が歓声を上げスタンディングオベーションをしたことです。
いや、もう完全に洗脳されてます。可哀想に。。
ふと、となりの同僚Yを見ると、彼女も拍手をしています。
こんな明らかなネズミ講に騙されて、本当に気の毒です。いいヤツなのに。こういう詐欺は、純粋で根が良い人間ほど引っかかってしまうので、たぶん彼女は厳密にいえば僕を騙そうとしていることにすら気づいていないのでしょう。
自分はちょっとヒネくれていて、性格も悪いタイプなので、怪しいのはすぐ気づきます。
なので、Yを傷つけない程度に「自分はこのバイトに全く興味がないのでもう帰る。あと、これは絶対儲からないので、Yも早く辞めた方がいいよ」と言い残し、途中で帰りました。
同僚Yのその後
その後、自分は勤めていた航空会社をクビになり (別の航空会社とトラブルを起こし、会社間の問題になったため。以前の記事 ”口は災いの元。ニューヨークの航空会社をクビになった話” を参照)、同僚Yとは疎遠になっていましたが、ニューヨークを去るタイミングで連絡してみたところ、一緒にご飯を食べることになりました。
で、最後に実際に会って話を聞くと「そのバイトは若い人を騙すヒドイ会社だった。Keisukeの言う通りだった。もう完全に脱会した」とのこと。
よかったよかった、と一安心です。チャンチャン!
※ちなみに、最近、当時 (2015年) のニューヨークのニュースを検索していたところ、僕たちが経験した詐欺のことが載ってました。
これだ!笑 懐かしい。
(エナジードリンクのネズミ講で多くの大学生が利用されると書いてあります↓)
ということで、今回は以上です!
皆さんも気をつけてくださいね〜‼️