さて、今日はニューヨークのレストランで働いていた時に実際に経験した、あまり感心しない日本人の話です。
そう、題名にもある通り、チップを払わない日本人です。
チップについては、けっこう一般的に誤解があるのですが、アメリカの【レストラン業界】のチップについては、これは ”心付け” というよりも、なかば ”義務” です。
そもそもレストラン側は【食事代の最低10%はチップが受け取れる】という計算のもとに、従業員の時給を設定しているので、サービスの良し悪しに関わらず、最低限のチップを受け取れないと、従業員は生活ができません。
なので、いくら法律に書かれていなくとも、アメリカにいる以上 ”暗黙の了解で支払うべきもの” 、それがチップなのです。
犯罪者だって払います。
しかし、残念ながら、このチップ制度の背景を説明した上で、それでも納得せずチップを払うことを拒否する人がたまにいます。
経験上、たいてい部下を連れた日本人男性の上司です。
なんど説明しても頑なに拒否され。。
前回の記事で書いた通り、僕はニューヨークの日本食レストランT⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎で一時期働いていたのですが、ある日ディナーのシフトで働いていた時、なかなか会計が終わらないテーブルが1つありました。
で、そのテーブル担当の日本人ウェイトレスを呼んで聞いてみると、客は出張でニューヨークに来た日本人グループで、そのグループのボスっぽい中年男性が、頑なにチップの支払いを拒んでいる、とのこと。
そして、そこまで拒む理由を聞いてみても、「特に感動するような満足できるサービスではなかった」との一点張りで、取りつく島もないとのこと。
僕も入って、冒頭のアメリカのチップ制度の背景も説明したのですが、いくら丁寧に説明しても、一向に納得してくれないのです。
何度説明しても、「法の強制力はないはずだろ?」という結論で通そうとしてきます。
いやいや、、、正直こちらから言うと、そんなの完全に理論が崩壊しているのです。
じゃあ、この人は、日本で結婚式に呼ばれた際、ご祝儀の明文化されたルールはないからといって、100円だけポンと置いていくことは是とできるのでしょうか?
できるわけありません。日本にいる以上、日本の風習に従って、3万円置いていくでしょう。
極端な例ですが、本質的には、同じです。
アメリカでは、レストランでの食事は、代金の10%はチップとして置いていく、というのが従業員の生活を保証するための最低限のラインなのです。それがアメリカの風習であり、暗黙のルールなのです。
なので短期滞在の日本人でも、アメリカにいる以上、郷に入りては郷に従わなければならないのです。
また、チップを断られた場合は、オーナーに報告•相談しなければならないし (それくらいあり得ないことなので)、いろいろと面倒なのです。
なので、なんとか理解してもらえるよう怒りを抑え何度も説明しました。
でも、やはり [納得できないから払いたくない] とのこと。
、、、
じゃあ、アメリカなんて来なければいいのに。
こういう輩は、たいてい【せっかく部下たちとアメリカ出張に来たので、自分はイヤなことに対してはハッキリNoと断れる ”タフで頼りがいのある国際派ボス” であるということを、ここぞとばかりに周りへアピールしたいが、それをアメリカ人の前でやる度胸はなく、そもそも英語での意思疎通が困難なため、日本人が働く日本食レストラン内でのみイキっている単なる中二病のバカ】です。
たまにいます、こういう人は。
で、さすがにもう説得してもムダなのでマネージャーに相談し、チップなしで帰ってもらうことにしました。
(2度と来るな) と思いながら、後ろから蹴とばしてやりたい衝動を抑え、みんなでその後ろ姿を見送りました。
みなさんは払いましょうね!
ということで、口悪く罵ってしまいましたが、冗談ぬきに、チップというのは生活の糧であり重要なものです。
ウェイター系についてももちろんそうですが、それよりももっと給料が低いキッチンで働くラテン系の人たちにとっても、チップがないのは、まさに死活問題です。
(チップについて、ウェイター個人で受け取るような体制のレストランは稀です。一般的にはレストラン全体として受け取り、給料支払いの際に、従業員全員に分配することが多いです。なのでお客さんとは直接の接点がないキッチンの人たちも当然受け取ります)
なので、もし皆さんがアメリカへ旅行や出張に行かれる際は、こういう背景を踏まえた上で、スマートにチップを渡していただければ、と思います。
今回は以上です。ではまた次回!